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「養老牛放牧牛乳」ブランド成長の裏側で、さまざまなメリットのある提案をしてもらった

北海道標津郡中標津町にある養老牛山本牧場は、敷地内にある工場で、一つひとつ丁寧に瓶詰めを行って、「養老牛放牧牛乳」を作っています。代表取締役を務められているのは、山本照二さん。Wildmilk (ワイルドミルク) という別名があるように、一口飲んで、北海道の大地、青草が思い浮かべられるようなひと味違った牛乳を手がけられている山本さんに、ご自身のお仕事について、オーレンスが提供しているサービスのご感想について伺いました。

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01 /山本牧場について

完全放牧と餌にこだわりぬき、
ほんとうにおいしい牛乳をつくる

30才くらいから「物作りをしたい」という気持ちが高まり、35才の時に家族で北海道に移住。別海町の研修牧場で酪農を学び、その後、独立して設立したのが、養老牛山本牧場です。
うちを語るうえで欠かせないのは、「完全放牧」の実践ですね。おいしさと健康的な牛乳づくりのために、昼夜も天気も季節も問わず、牛を365日放し飼いにしています。
マイナス30度近い、北海道の冬を屋外で飼う方式をとっているのは、道内では数例を数えるのみなんです。完全放牧に挑戦した1年目は、購入した若牛がこの環境に適合せず、病気や事故にあうことも多かったですが、2年目以降は冬の寒さを徐々に克服し、今に至っては、“日本一頑丈な牛たち”と誇れるまでになりました。

牛乳は、餌や育て方の違いで風味が異なってきます。うちで販売している「養老牛放牧牛乳」のお話をすると、牛のエサに配合飼料や輸入穀類を用いず、夏は有機牧草、冬は越冬用に蓄えた干し草のみで飼育しているので、季節によって牛乳の味が変わります。そこで、出荷時期に合わせて、5月~10月は「さっぱりとしたキレのある」グリーンラベル、11月~4月は「コクが際立つ」赤ラベルといった風にラベルを分けています。

02 /「法人化サポート」導入のきっかけ

成長期の販売管理を改善したい一心でオーレンスをみつけ、
さまざまな提案を受けるようになった

オーレンスを知ったのは、知人の紹介がきっかけです。自社の生乳プラントで加工している牛乳の販売が軌道に乗ってきたころ、販売管理の方法が手探り状態で、良い方法がないか模索していました。当時は、本州などの取引が拡大していくなかで、顧客からの受注、製造に多くの時間を費やし、販売先に対する管理がうまく手が回らず、危機感をもっていました。人からの情報でオーレンスのことを知り、まずは販売管理アウトソーシングと、管理スキーム構築のために顧問契約を結びました。

法人化サポートに関しては3つの観点より、当時オーレンス側から提案されたものでした。
①販路拡大が奏功し、売上が増えるに伴い、税金負担がかなり大きくなってきており、税金対策の視点から法人化が有効だった。
②当時サラリーマンをしていた長男が戻って来て酪農業に参加することになったタイミング。個人で従業員として雇われる立場ではなく、法人化して役員にさせることで経営意識を持たせたいと考えていた。
③住宅を建てる計画もあり、資金を確保するために事業のお金と家計を明確に分離させたいとと考えていた。

ただ、「放牧牛乳」 を謳って販売していたので、素朴さのイメージを損なうのではないかと、当初は法人化には消極的だったのですが、税負担が大きく資金繰りが厳しい状況にあったので、少しでも改善させる意味で、法人化を決意。前述した販路拡大で営業や製造のスタッフを確保したいと思っていたので、福利厚生を充実させる意味でも法人化はメリットがあると判断しました。

03 /「法人化サポート」を導入して変わったこと

販売状況の改善だけでなく
法人化による節税メリットも享受できた

販売管理に関しては、まず販売管理システムを導入してもらい、それに伴うシステム設定、受注から商品発送、売掛管理までの流れを構築。導入当初は、販売システムへの入力、確認、請求書の出力等、幅広い部分をオーレンスと協力しながら定着させていきました。この一連の作業と、販売請求の一覧表を作成できたことで、販売状況をリアルタイムに把握するできるようになりました。その後、当社の社員にシステムの操作方法を指導してもらうことで、今では一連の作業を社内でクローズできています。

当社の牛乳販売は会社の収益の根幹です。販売管理のルール策定は経営の状態を把握するために重要だと強く感じていました。会社内でしっかり管理できるようになったことで、会社に寄せる社員の信頼も強いものとなり、社員の働くモチベーションも上がったように思います。

また、法人化により税負担が数百万規模で軽減されたのも成果として非常に大きいです。これは、資金繰り面でインパクトがありました。さらに、法人化に伴い社内規定を整備し、販路拡大で必要になる出張手当などを明確に規定することができるように。今後ブランド価値を高めていくためにも、外部雇用を増やしていきたいと考えており、法人としての給与規定や評価体制・福利厚生面をさらに充実させることは必須だと考えています。

04 /山本牧場のこれから

社会的な価値を高めることで
ブランディングを強化していきたい

山本牧場の価値を高めていきたいです。価値を高めるとは、単純にものを作って売るだけではなく、社会的な役割を担うという意味で、具体的にはSDGsの取り組みに力を入れています。私が主催する地域組織「中標津素材感覚」が中心となり、道東地域の6つの自治体を巻き込んで、数年前に 「道東SDGs推進協議会」が設立され、環境省の民間支援実証事業に採択されています。
特に力を入れたい項目は、食の生産者として「飢餓の撲滅」です。うちは100%オーガニックでやっていて、地球に負荷を与えないような持続的な農業に取り組んでいます。こういった取り組みが広がっていくように注力していきたいと考えています。例えば、学校給食にうちの牛乳が使われたり、オーガニックで栽培された野菜が使われるような活動をしていきたいですね。

現在、「養老牛放牧牛乳」ブランドを関東圏でも展開しておりますが、当初思っていた以上に大きな手応えを感じています。さらにマーケットを拡大し消費者に本物を届けたいのですが、やはり一番の課題は人材でしょうね。現地で採用活動をする必要がありますが、全国的に人材獲得がむずかしいなか、わざわざ中標津にある会社で働きたい人を獲得できるかどうか……。直接採用ではなく、フランチャイズのような形態も検討しています。東京でたくさんのカフェを展開している企業と協力しながらやっていくのもよいかもしれません。

オーレンスには、こういった新しいことを始めようと思った時に、国や自治体の最新の助成制度や補助金の情報など個人だと集めにくい情報を提供してもらえるようなパートナーとして、今後も力を貸して欲しいです。

養老牛山本牧場

北海道標津郡中標津町でこだわりの放牧牛乳や乳製品を生産している牧場。そのおいしさは北海道だけに留まらず、全国のファンを魅了し続けている。

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